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スキー雪板?

Icelanticのコラムでスキーバージョンの雪板を作っている人がいると知った。

去年の夏、札幌市内のスープカレー店で食べているときに、隣の席からスキーを自作しているという若者の話が聞こえてきた。話しかけたかったけど、勇気が出なくて食べ終わったらそのまま店を出てしまった。

今回のコラムで登場したのは、雪板というよりは自作のスキーだった。というのも、自作のスキーにはビンディング(テックビンディング)が取り付けられて、靴もちゃんとしたスキーブーツ。そりゃ、滑れて当然でしょ。

雪板というのはビンディングなしに乗ることに意味がある。スノーボードがスノーボードとさえ呼ばれていなかった黎明期には確かビンディングは付いていなかったはずだ。ブーツもソレルとかで乗っていたと何かで読んだことがある。このスノーボードの原点回帰とも言えるのが雪板だろう。

BurtonからThrow Backというバインディングなしのスノーサーフィン用のボードが出ている。以前とは多少形は変わっているけど、コンセプトは継承されているようだ。

また、Gentemstickからも同じようなバインディングレスのPowderstickというボードが出た。

こちらは値段もかなりなもの。

バインディングなしに滑るという意味では、最近流行ってきているスノースケートも共通しているけど、パウダースノーを滑るという点では、やっぱり雪板だろう。

一方、今回のスキー雪板。あっさりビンディングを付けてしまっている時点で、もはや雪板ではない。自作スキーでしかない。コラムのタイトルを読んだときは、いったいどうやってビンディングなしに2本の板に乗るのだろうかと期待したのだけど、完全に肩透かしを食らってしまった。

そもそも、スキーとスノーボードでは作られた目的がちがう。スキーは雪の上を歩くために作られたが、スノーボードはサーフィンで波に乗るように雪山を滑るために作られた。歩くのと滑るのとでは目的がまったく異なる。

スキーは歩くために作られたから、歩くときに足を上下しても板が足からはずれて困らないようにビンディングが取り付けられる。最初は革や木の皮などで作られた紐だったはずだ。つま先を引っ掛けて、踵は歩きやすいように自由に動く。テレマークスキーの原型だ。

歩くための道具で滑るためには、滑る技術が必要になる。片方の足に体重を乗せて、もう片方の足でバランスをとり、さらに長い杖も使って身体を支えた。日本に最初に伝わったスキーだ。

逆に、サーフィンには滑り止めのワックスは塗っても、バインディングなんて付いていない。スノーボードにも初めは付いていなかった。ビンディングがなくても滑れるからだ。

ところが、テレマークスキーの歩く機能を犠牲にして、より安定して滑れるように踵を固定してしまった。それがアルペンスキーだ。スノーボードもより安定して滑れるようにバインディングを取り付けた。どちらも滑りやすくはなったが、自由が失われた。

テレマークスキーと雪板は、自由という精神でつながっている。

あえてスキー雪板にこだわるのであれば、ビンディングレスまではいかないまでも、靴のつま先を引っ掛ける輪っかを付けるだけにすべきだ。テックビンディングのようなゴツい工業製品を取り付けたものが雪板であろうはずがない。雪板が雪板なのは単に自作だからというわけではない。

ちなみに、今シーズン、田中パパは60年以上前に作られたエッジも付いていない木のスキーで滑るそうだ。ビンディングは3ピンのようだけど、むしろ、こっちの方がスキー雪板っぽい。

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