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雪崩から身を守りたい

今年もASSHの講演会へ行ってきたけど、コロナ禍でいつもよりかなり寒い講演会だった。

いや、もう、とにかく寒い。これまでも会場のクラーク会館は1階が寒いので2階に座るようにしていたけど、今年は旧教養?の建物にある大講堂に会場が変更になったというのに、換気が必要だとかで出入り口は開放でスースー冷気が入ってくる。北大まではチャリだったので、上は化繊のインシュレーション、下もパンツの中にはタイツを履いている。暖かい格好をしてきたとはいえ、ずっと外と同じ環境は想定していなかったので、かなり辛かった。そう感じてたのは自分たちだけではなく、会場のみんなも寒そうにしてた。エアーレスキューの実演は見なかったけど、閉会の挨拶まで聞いて帰った自分を褒めてあげたい。途中、寝たけどw

最初は尾関さんの講演で弱層形成と雪崩発生のメカニズムのおさらい。榊原さんの積雪安定性評価へと続いたのだけど、時間があまりにも短すぎる。もう少しじっくりと話を聞きたかった。北海道は緯度が高くて冬は太陽高度が低いので、緩斜面よりも急斜面の方が日射の影響を受けやすいということには言われるまで気づかなかった。漠然と緩斜面の方が日射の影響を受けやすいと思っていたけど、緩斜面は標高が低い場合が多く、気温上昇の影響が大きいから緩斜面が日射の影響を受けやすいと感じていたのだろう。

北海道防災航空隊隊長の北條さんの講演はなかなか衝撃的だった。夏山登山での救助の模様を動画で紹介してくれたのだけど、救助を求める遭難者の周りにいる登山客がレスキューをことごとく邪魔していた。ヘリからのダウンウォッシュはかなり強力なので、10m以内に人がいると吹き飛ばす恐れがあって近づけない。にもかかわらず、谷側に待機する人がいたり、酷いのは写真を撮ろうと構えていたりする。結果的には救助できなくてヘリは帰ってしまうこともあった。BCではメジャーな山域でもなければそんなにたくさんの人が集まることはないだろうけど、レスキューの邪魔をしては意味がない。

エアレスキューの実演があったのもとても参考になった。雪山での雪崩事故で埋没者を掘り出したあと、レスキューを要請し、現地へ隊員が到着、降下、ヘリへ引き上げる手前までのやり取りを実演してくれた。現地では隊員の指示にしたがって結構自分たちも作業に加わることになるようだ。ただ、その際にはできないことはできないと言って、できることだけのが大事なようだ。ダウンウォッシュでザックを飛ばされないように注意が必要だけど、胸骨圧迫の時にはザックを下ろして行った方が楽らしい。

大講堂での講演が終わるとグラウンドへ移動してヘリによる実演を見ることになっていたけど、寒さと空腹に我慢できないので、会場を出たらそのままごはんやデンスケへ向かった。ところが、なんとデンスケがあったところは別の店になっている。調べると、2年前に閉店していた。数えるくらいしか行ってなかったので残念。

仕方ないのでmsrnが別の店へ連れて行ってくれた。ごはんやはるや。春巻のランチがすごく美味い。見た目も綺麗だし、山椒のしょうゆ漬けが入ったたこめしも美味い。ここへは今度夜にも来てみたい。

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会場へ戻るとブースでとっちーさんと大西三段クラブ代表が話していたので挨拶をした。とっちーさんに聞くと、LIFE-LINKはほんとになくなったっぽい。自分はいまだにライフリンクのカーボンプローブとシャベルを使っているので、メーカーがなくなったと聞くとちょっと寂しい。シャベルは柄が長くて便利だった。プローブもカーボンの割にはまだ折れてない。最近のカーボンプローブは折れないようにかなり太くなっているみたいだけど。

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モチヅキのスノーソーも新しくなって前より嵩張らなくなっていた。仲間を助ける道具こそ最新の改良されたものにすべきだろうけど、まだ壊れていなくて使えるものだと思っていると、なかなか更新できない。

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午後の講演は大西さんからだった。休憩時間にいきなり謝られてスライドに何が出てくるか心配だったけど、ヒューマンファクターのスライドの背景にピカチュウが飛んでる写真が使われているだけだった。雪崩リスクがある厳冬期にはピカチュウじゃないし、講演聞いてる人にはこの写真が出てくる意味はさっぱり理解できないだろうな。

ただ、今回の講演会はウェブで配信されるため、これまでのようにYouTubeの動画を講演会で上映することはできなくて、いろいろと代わりに使う素材集めに苦労したみたいだ。確かに、これまで見ていた雪崩の動画がなくて迫力には欠けるものの、身近な山域での写真や映像が使われていたので、臨場感は以前より感じられた。

次は榊原さんが再び登場してコンパニオンレスキューについて話してくれた。雪崩トランシーバー(ビーコン)を持っていないかスイッチが入っていない場合に行うスラロームプロービングが興味深かった。これも実演があったけど、今回も時間が短くて消化不良気味。ホントは講習会へ出た方がいいのだろうけど、赤井川に2泊3日で30,000円は今はちょっと痛い。

そのあとの及川さんの講演は興味深い内容だったけど、雪崩事故とはあまり関係ないのでは?という内容だった。コロナ禍で増加して世界的に注目されている行動嗜癖について、運動依存の側面から及川さん自身の歩数計測を紹介していた。及川さんはこれまでも低体温症について変態っぷりを発揮していたので、相変わらずだとは思ったけど、トレイルランナーなどに特に運動依存といわれる様子が見られるので、注意は必要なのかもしれない。雪崩事故との関わりについては、残りの時間でサラッと説明していてあまり頭に入らなかった。

事故調査報告では大西さんも再び登場。北海道の事例では、トマム山、敏音知岳、羊蹄山とどこも身近な山なので興味深く聞いた。特に、雪崩エアバッグを付けていても死亡しているので、大西さんも日本特有の沢地形が影響しているのではないかと話していた。レスキューでも掘り出すときにエアバッグが展開されていてうつ伏せだと、エアバッグを引き裂く必要も生じるようだ。ただ、講演の最後に大西さんが言及していたのは、羊蹄山で当日、死亡した遭難者と直前に遭遇している人が、「単独で沢に入る選択肢はない」と話していたこと。雪崩事故での死亡率は、単独だと100%、2人だと50%、3人だと25%、4人、5人以上だと複数埋没などで死亡率が上昇することもあるようだけど、原則、単独では埋没した場合にだれも助けてはくれないということをしっかりと自覚しておく必要がある。

尾関さんからは二トヌプリと武佐岳の事例が紹介されたけど、途中で寝てしまったのか、あまり記憶に残っていない。最後は阿部幹雄さんが白馬でのスラロームプロービングでの救出の模様を動画で紹介してくれた。雪崩トランシーバーがなくて救出までも30分?かかってるのに助かったのは幸運だろう。近くにレスキューできる人も多かったことも。BCでできるだけ人気を避けていたら、そんなことはまずない。

閉会の挨拶は、山スキー部の主任と阿部幹雄さんだった。主任の挨拶は正直、北大生大丈夫か?と思う適当さだったけれど、幹雄さんは相変わらずだった。とにかく、「山で死んではいけない」というところはブレない。ただ、「コロナで死にたくないからマスクをする」ように、雪崩で死にたくないから何をするのか?という話には違和感を覚えた。

マスクをするのは死にたくないからではない。日本の行政がコロナウイルスの封じ込めのための対策をちゃんとやらなかったせいで、日本にコロナ感染者が出てから半年以上経っても当時とほとんど変わらずどこで誰から感染するか分からない状況が続いていて、万一、自分が感染していた場合に家族にも感染させる危険性があるから、その危険性を少しでも抑えるためにマスクをしている。そもそも感染していなければマスクなんてしなくていい。雪崩だって自分が死にたくないからというより、万一埋まった仲間を助け出せる可能性を高くするためだ。自分にとってはどっちもピンとこない話だった。

コロナと関連させたかったのかもしれないけど、緩んできていたタイミングだったのもまずかっただろう。余計なことはしないで、スラロームプロービングの流れのまま閉会していた方がよかったかもw

とはいえ、今年も無料で有意義な講演会をありがとうございました!

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