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season eqpt.とVector Glide

エリックポラードが新たに立ち上げたブランドseason eqpt.との対比によって見えてくるVector Glideの過去と現在。

ブラボースキーを立ち読みして知ったのだけど、ここ数年ではLINEのペスカドの開発が話題になっていたエリックポラードが、自身のブランドを立ち上げたようだ。

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インタビュー記事はSTEEPにも載っていたので読んでみた。seasonを始めた理由の一つ目が次のように書かれていたので抜粋する。

スキーとスノーボードを一緒にすることを提案したんだ。これまで決して起こることがなかったことさ。
スキーとスノーボードをシンクロさせることは最高にラディカル(急進的)だよ。誰もやってないことだった。そう、このスペースは誰にも踏み入れられていないフィールドだったんだ。どうやってふたつを統合するか、考えるのが本当に大変だった。初めての試みだから、上手くやらなくちゃいけない。そこには覚悟とアイデアが必要だった。

ここですぐに疑問符が頭に湧いた。なぜなら、スキーとスノーボードを一緒にする、シンクロさせる、統合するというようなことは、10年以上も前に日本でVector Glideがすでにやっていたことだったのだから。

15年前に秋庭さんがVector Glideを立ち上げたときのことについては、Fall Line 2007に載っている。「2シーズン目からスノーボードも作り始めたのはなぜですか?」と聞かれ、次のように答えていた。

スタートは同時でした。フリースキーを始めたときに、一緒に滑りに行くのはスキーヤーだけではありませんでしたし、同じフィールドで楽しみを分かち合えることに強い感銘を受けたのが理由です。

スキーヤーである秋庭さんは当初からスノーボードの開発も行っていたのだ。Vector Glideの最初のスキーでありブランドアイコンでもあるCordovaがまず登場し、1年遅れてスノーボードのGeniusがリリースされた。

その後、詳しい事情は知らないけど、Vector Glideはいったんスノーボードの開発・販売を休止し、その間に、Geniusの特徴であるテールが尖ったピンテールを備え、同じ名前を冠するスキーが10-11シーズンにリリースされた。まさに、スノーボードのGeniusのスキー版だった。ちなみに、10年以上前に浅川さんが開発秘話を語っていたのを聞いた。

そして、スノーボードのGeniusも、確か14-15シーズンくらいからVector Glideがスノーボードを再開したのに合わせて最初に復活した。

Cordovaは自分は持っていないので、借りたり試乗したりした経験くらいしかないのだけど、スキーのGeniusは11-12モデルに乗り続けている。スノーボードのGeniusも14-15モデルに乗っているので、少なくともGeniusに関しては、seasonが行なっているスキーとスノーボードを同じコンセプト、同じ名前にしている点について共通しているように感じる。

一方、Vector Glideがseasonと比べてもっとも残念に感じるのは、エリック・ポラードのseason立ち上げの二つ目の理由に共感するからだ。

どのスキー・スノーボードカンパニーも40種類とかのモデルを出してて、典型的ですごく保守的。たくさん数があれば、それだけ売れるから当然ではあるね。でも、それってユーザーには選択肢が多すぎるんだ。Too muchだよ。
僕らは3モデル。正直言って三つをどうやって差別化するかっていうのがすごく難しかった。へたしたら3つでも似ちゃうからね。40なんてどう考えたってover kill (やり過ぎ)さ。

これが業界にいたエリックポラードの本音なのだろう。いちユーザーという自分の立場から見ると、本当にそう思う。

Vector Glideも以前はまだよかった。バックカントリー、パーク、モーグルといったフィールドに合わせたスキーのモデルがあったとはいえ、今のように選ぶのに困るほどの数のモデルは存在しなかった。それはスノーボードでも同じだった。

ところが、最近のVector Glideのモデル数の急増には、Vector Glideも典型的ですごく保守的なブランドになってしまったのだろうかと思うほどだ。自分が初めてVector Glideのスキーを買った11-12シーズンには、テレマーク専用モデルとキッズモデルを除いて、フレックスが異なるモデルも数えても13モデルしかなかった。ところが、10年後の今年、21-22シーズンには28モデル、なんと2倍以上に増えている。同じモデルでも短く、グラフィックを変えた女性向けモデルまであるので、全部を試乗することすら厳しいだろう。Too muchだよ。

特に、最近はVector Glideの契約ライダーも急増して、ライダーごとにシグネチャーモデルを作っているような状況だ。まるでGentemstickを目指してでもいるかのように感じてしまう。

こういう状況では、ユーザーが貧乏くじを引くことになる。確かに、ユーザーの多くは貧乏というよりむしろ富裕層が多いので問題ないのかもしれないけど、結果的にコレクターとなっていく人もいて、ベクター信者と呼ばれたりもする。

一方、seasonを立ち上げたエリックポラードはこうまで言っている。

大事なプロダクトなのに作り手が十分に語ることもできないし、ユーザーに大切にケアされることもなくなってしまう。だから僕らはシンプルにミニマルにいきたかった。少しであればあるほど多くを語ることができ、多くをもたらすことができるから。

10年以上前、今ほどユーザーも多くなかった頃のVector Glideにあった雰囲気を感じる。ブランドとユーザーとの距離が近かった感覚。Vector Glideが失ってしまったものを、seasonは大切にしているように感じる。

そして、3つ目の最後の理由が環境への配慮というのにもseasonの熱意を感じる。Vector Glideのグラフィックは基本的にはカラーがシーズンごと異なるくらいで、所有欲を刺激するような凝ったグラフィックでもない。それでも信者たちの中には自分の好みの色を手に入れようとする者もいる。そういう自分も痛板と相性が悪い色は買わないけどw

seasonの日本における本格的な展開は来シーズン、22-23シーズンからのようだけど、気の早い人はすでに今シーズン入手しているようだ。人柱乙www

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コメント

かっこいい板だね!
本国で買ったらすごい安いしワックスもしてくれるらしい!

人柱に自らなるタイプなんで…笑

投稿: bp | 2021年12月 1日 (水) 11時56分

>bpさん

シンプルでカッコいいですよね。飽きずにずっと乗れそう。
やっぱりスプリットですか?
札幌まで送料$40みたいなのでぜひ人柱に!w

投稿: H本 | 2021年12月 1日 (水) 12時26分

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