野焼きによる山火事予防
アメリカにおける山火事を先住民が野焼きによって予防してきたという話を最初に知ったのは、NHKスペシャル「ワイルドファイア」を観たときだった。
気候変動の影響もあり、アメリカでは近年、山火事が多発して被害が拡大しているらしい。ところが、そもそも山火事は自然に起きていたものであり、その山火事さえも、カリフォルニアの先住民であるイロック族は、野焼きで山火事の原因となる下草を焼いてしまい、山火事の規模が大きくなりすぎるのを防いでいたそうだ。
薪ストーブの灰が肥料になるのと同じように、野焼きによって森林には養分が残り、成長も促すことになるようだ。ところが、野焼きが禁止されたことで先住民は以前のように野焼きをできなくなり、結果として山火事が増え、被害が拡大している実情があったらしい。山火事で斜面の植物が消えると土砂崩れが起きて川に流れ込み、魚は死んでしまう。番組では、野焼きを禁止する政策を見直し、先住民が以前のように野焼きを行って山火事を予防する試みが紹介されていた。
「樹木の恵みと人間の歴史」の中でも、カリフォルニアの先住民の野焼きについて紹介されている。
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人間にとって、自然はさまざまな恵みをもたらしてくれるけれど、そのためには必ずしも自然そのままの姿がいいというわけではないようだ。自然の機能を破壊しない範囲で、人間が生きやすいように適度に自然に働きかけてきた歴史を知っておくべきだろう。
自然は厳しい。このたった数百年の科学技術の進歩で調子に乗って、しっぺ返しを食らっているのが現代人なのだろう。
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